糖 尿 病 の 食 事 療 法 




 

  ◎ 血糖値とは


からだを動かすエネルギー源となるブドウ糖は、食べものや飲みものを消化することによって作られます。 そして血液の流れに乗ってからだの細胞に運ばれ、筋肉や臓器に使われます。 血糖値とは、そのブドウ糖が血液中にどれくらいあるかを示すものです。


 

  ◎ 糖尿病になると…


糖尿病になると、ブドウ糖がエネルギーを必要としている細胞の中に運ばれなくなり、血液の中にあふれてしまいます。 それは、からだの中で唯一 血糖を下げるホルモンであり、食後に血糖が上がらないように調整するはたらきをもつ インスリンが足りなくなったり、うまく細胞に作用しなくなってしまうからなのです。
またインスリンは、血液中のブドウ糖をからだの細胞に送り込んで、活動エネルギーに変えたり、脂肪やグリコーゲンに変えてエネルギーとして蓄えておくようにする働きももっています。 ブドウ糖をコントロールするインスリンが不足したりうまく作用しないと、ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなって、血糖中のブドウ糖が使えなくなってしまいます。
そうなると、筋肉や内臓にエネルギーが運ばれなくなるので全身のエネルギーが不足してしまうのです。


 

  ◎ 糖尿病の4つの種類


@ 1型糖尿病
インスリンを作る すい臓のβ細胞が破壊され、体内のインスリンの量が絶対的に不足して起こる。 以前に小児糖尿病やインスリン依存型糖尿病と呼ばれ、子供のうちから始まることが多い。

A 2型糖尿病
日本の糖尿病の95%以上がこのタイプであり、食事や運動といった生活習慣が大きく起因しているとされている。
これはインスリンの出る量が少なくなって起こるものと、インスリンの働きが悪くなることによって肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなり、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こる。

B 遺伝子異常や他の病気が原因のもの
遺伝子異常や、すい臓、肝臓の病気、感染症、免疫異常などといった他の病気が原因となり、糖尿病を引き起こす。 薬剤が原因となる場合も。

C 妊娠糖尿病
妊娠中に発見される。
新生児に合併症が出る場合もある。

 

  ◎ 合併症


糖尿病を放置しておくと合併症が出てしまいます。
合併症とは、その病気がもとになって起こる別の病気や症状です。
糖尿病の合併症には、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症、皮膚の病気、感染症などの慢性合併症があります。 この他にも高血圧や高脂血症のある人、腎臓病のある人が糖尿病になるとそれらの症状を更に悪化させてしまうことになります。
糖尿病特有の3大合併症といわれるものは、
糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症 です。
血糖コントロールを怠っていると、糖尿病発症時から10〜15年でこれらの合併症が出てくるようになります。


         
 

  ◎ 糖尿病の3大合併症


@ 糖尿病神経症
最も多い。手足の痺れや、怪我や火傷の痛みに気づかないなど末梢神経障害が中心となる。 それら末梢神経障害の手や足に出る症状は様々である。
また、筋肉の萎縮、筋力低下や胃や腸の不調、発汗異常など様々な自律神経障害の症状も現れる。

A 糖尿病網膜症
目の底にある網膜の血管が悪くなり、視力が弱まる。失明の危険もあり。
白内障になる人も多いといわれる。

B 糖尿病腎症
尿をつくる腎臓の糸球体という部分の毛細血管が悪くなることによってだんだん尿が作れなくなるもの。 そうなると機械で血液の不要な成分をろ過し、機械で尿を作り出す、人工透析が必要になる。透析は週に2〜3回病院で受けなければならない。
現在、人工透析を必要とする人の原因のトップが糖尿病腎症といわれている。

         
 

  ◎ 食事療法


糖尿病と診断された場合、食事面で気をつけなければならないことが多くなります。

それは、食事と密接な関係にあるインスリンの不足や欠乏が関わっているからです。
インスリンが不足すると、食べ物を通して摂取したブドウ糖などの栄養分が使われなくなり、各細胞が栄養不良になります。しかし、本来なら使われるべきブドウ糖は使われないことによりどんどん増え続ける一方になり、血液中にあふれることになります。
このままこういう状態を放置すると合併症が起こるようになるのです。

食べものの摂取量を制限すること、たんぱく質、炭水化物、脂質の3大栄養素の必要量をバランスよくとり、ビタミン、ミネラルなども欠かさずにとることなどが必要になります。
この内容は個人により違うので医師の指示を仰ぐことになりますが、食事を制限しつつ、必要な栄養素は不足しないような食生活にかえることが食事療法なのです。


→ 食事療法の実践

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